@techreport{oai:u-sacred-heart.repo.nii.ac.jp:00001141, author = {畑, 浩一郎 and Hata, Koichiro}, month = {}, note = {20514574, 聖心女子大学, 2019年度は主に二つの軸を立てて、フランス・ロマン主義時代における共属意識について考察を行った。ひとつは、いわゆる初期ロマン派と呼ばれる作家たちが、自らとは異なる人間の集団についてどのように考えたのかという問題をいくつかの作品の分析を通して検討した。一般に、ロマン主義においては、各国の文学の特殊性はそれを生み出した国民性、土壌に求められるとされる。こうした自国の存在基盤にまつわる意識は当然、他国のそれとの比較を通じて先鋭化される。こうした問題意識に立ち、研究初年にあたる2019年度は、フランス・ロマン主義の嚆矢にあたる二人の作家を取り上げ、それぞれ異なる観点から、共属意識が発生していく前段階の考察を行った。まずスタール夫人の『ドイツ論』を手がかりに、フランスにロマン主義が芽生え始めた時期に、他国の文化・思想、とりわけドイツと英国の文学、哲学がフランスの文学者たちにどのような影響を及ぼしたのかという問題を検討した。他方、シャトーブリアンの『キリスト教精髄』の分析を通して、キリスト教、とりわけカトリックの教義が大革命以降のフランス人に涵養したある種の同族意識を考察した。ただしシャトーブリアンの著作に対しては、無視できない規模での批判が沸き起こっていることをも合わせて確認した。 もうひとつの軸となるのは、ヤン・ポトツキの人生と著作にまつわる問題である。ポトツキはポーランドの大貴族の出身だが、18世紀末から19世紀初頭にかけてフランス語で数多くの著作を発表した。とりわけ彼の残した小説『サラゴサ手稿』、ならびに数々の旅行記は、この時期のフランス人の共属意識を考えるにあたって、有益な視座を提供してくれる。すなわち共属意識というのは国境を越えて醸成されうるものであり、そこには共通する言語、思想、とりわけ青年期に受ける教育が大きな役割を果たすことを確認することができた。, 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基金 一般, 研究期間 (年度):2019-04-01–2022-03-31, 19K00479}, title = {フランス・ロマン主義文学における共属意識に関する総合的研究}, year = {2019} }